Love Again【番外編集】
「なあ、さっきのメールのケーキ。今日は持ってきてないの?」


『へ?』


「いや、写真じゃなくて現物見たいんだけど。」


でも紗英、鞄一つしか持ってないし。家に置いて来た?


『……の』


小さな声で呟く。


「ん?何?」


『~ッ。だから!無いの!!』


「無い!?な、何で?」


まさか見せびらかすだけで、自分で食った?


『な、何でって、あれ、昨日作ったヤツを撮った写真だもん。』


「はあ??」


『すごく上手に作れたから嬉しくて、完成後に撮ったの!』


じゃあ、何で今日は遅れてきたの?作り直してて、遅刻しそうになったんじゃないの?


「今日一緒に登校できないって、何でだったの?」


『それは、今日放課後渡すまでの間、家庭科の先生にお願いして冷蔵庫に入れさせてもらおうと思ってて。』


「だったら、昨日持って帰った理由は?」


『ちゃんとラッピングしたかったの。…もう何よッ!私だって作り直そうとしたわよ!だけど、家にはまともに器具揃ってないし、それにっ…』


それに?続きを言おうとしない。それどころか、何故か睨まれてる?


『失敗したの!!悪かったわね不器用でっ!!』


「俺は別にそこまで言ってな…」


『直樹の馬鹿ぁ…せめて崩れる前の形、見せたくてメールしたのに…』


せっかく引っ込んだ涙がまた目に溜まっていく。
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