【短】ブランシュ・グロウ
そのとき、その横断歩道の青信号がチカチカと点滅しだした。
「信号…」
「次まで、待ちます」
青いネオンが赤いネオンに変わる。その瞬間に彼女がおれに向き合ってくれた。白い世界に、きみだけになる。
目と目が合って。
きもちが溢れて。
「……っ」
ずっと、このままであればいいのに、と思った。
雪が赤く染まっていた。信号の光なのだろうが、彼女の色と同じ色に。
柔らかそうな髪も、二重の目も、鼻も、唇も、頬も、やはり赤い耳も。
ずっと、ずっと……
( 魔法がとけないで欲しい )