【短】ブランシュ・グロウ
「今日は、ありがとうございました。名残惜しいくらいです」
「おれも、です」
「なら良かった……おうち、どこですか」
寒さからか、光のせいか。なおさらに耳と顔を赤くする彼女に、最後にひとつ。
車の信号が黄色から赤になる。歩行者信号が変わるその前に。
「ほんとは、全然反対方向です」
今、きみとおれが
おんなじいろをしてればいい。
そんなことを思っては、無性に胸がこそばゆくなって。
たった今、歩いてきた道のりを必死になってチャリをこいだ。
雪が君の色になる
(雪の魔法が溶けないで、消えないで)