【短】ブランシュ・グロウ


そのあとも、他愛ない会話を続けて。こんなにゆっくり話したことはなかったから、彼女のことを少しでも知れたことが嬉しかった。



おれと同じで、弟が一人いること。

英語の先生が苦手で、それに備えて勉強してたってこと。

冬は夏よりすきだってこと。

おれもよく読む作家の本がすきだとか(これはめちゃくちゃ嬉しかった)


ひとしきり会話をしたあと、空を見上げた彼女は


「ゆき…?」

「ほんとっスね」

「うわあ…」


妖精のように、ひらひらと舞う雪。てのひらを天上に向けてそれに触れようとする彼女が、今年の雪が、ひどく愛しくなった。

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