僕は何度でも、きみに初めての恋をする。


「ここに居ていいんだ、星」




ひとつの星が照らしていた夜が、ゆっくりと白く明けていく。



『居ていいんだよ、セイちゃん』



何よりも聞きたかった言葉だ。

ずっとそれを探していた。


狭いところに隠れて、小さくうずくまって、ひとりで逃げて、手を伸ばそうともしないで。

目を瞑って、耳を塞ぎながら、でも本当は聞きたかった。

たったひとつのその言葉。


居ちゃいけないと思った。居たくないと思った。

でも本当はここに居たかった。

わたしはずっと、そう言って欲しかった。


お父さんとお母さんに。わたしの居場所に。

一緒に居て欲しい人に、その、言葉を。



そして、ああ、そうだったんだ、と気付く。


なんでハナの言葉を聞くと、よく泣きたくなっていたんだろうって。

不思議だった。なんで涙が出そうなのか、自分でも全然わからなかった。


──そうだったんだ。


ずっと初めからそうだった。


わたしが聞きたかった言葉。


ハナの言葉の裏側にはいつだって、その言葉が、隠れていた。



  ここに居ていいんだ。



きみはわたしに、いつだって、そう言ってくれていたんだね。


< 161 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop