僕は何度でも、きみに初めての恋をする。
epilogue


また今年も、冬服の季節が来た。

梅雨の時期に夏服に着替えてから数ヶ月ぶり、2年生になってからは2回目の長袖ブラウスだ


一度家に帰ったけれど、着替えずにそのまま家を出た。

学校指定のカバンの代わりに、ようやく使い慣れたカメラを背負う。


歩き慣れた道はいつもと変わらないけれど、少し涼しげな風が吹くようになってきた。

もうすぐ秋も深まる。変わりやすい天気がめんどくさいけれど、雨の日もそれはそれで楽しいと、わたしはいつか教えてもらった。


この距離も、もう長いとは思わなくなった。

何度か原付できたけれど、最近はまたずっと、歩いてここまで通っている。


駅の近くの噴水の公園。

夏に、3回だけ綺麗な水を噴いてるのを見た。

今はまた、あんまり綺麗じゃない水が下のほうにふよふよ溜まっているだけだ。

冬が過ぎればそのうちきっと、また涼しげに虹をつくるだろう。



“そこ”へ行く前に、カメラの準備をした。

レンズの蓋を開けて、一度ファインダーを覗いてみる。

使い慣れはしても、相変わらず詳しいことはわかんなくて、手探りで好き勝手目に付いたものを写していた。


うん、今日も、カメラの調子いい感じ。

なんて、わかりもしないくせに呟いて、公園の奥へ入っていく。


続いていた石畳がそのうち終わって、芝生が生えそろう場所に出る。

最近はちょっと雑草も多い。

でも可愛い花が咲いてたりするから、今の雰囲気も結構好きだ。
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