僕は何度でも、きみに初めての恋をする。
◇
昨日の晴天が嘘みたいにどしゃ降りの今日。
教室の大きな窓一面に打ち付ける強い雨粒は、ひとつひとつがライフル銃の弾みたいに、するどく正確に窓際のわたしを狙ってくる。
そのうちこの窓割れちゃうんじゃないかな、って。そんなことだって本気で思えるくらいに勢いはすごくて、雨粒の攻撃のうるささで先生の声だってロクに聞こえはしない。
昼間なのに空は重たく黒くて、校庭は海みたいにうねうね波をつくっている。
明日まで続くらしいこの雨は、ニュースで話題になるくらいの珍しい大雨だ。
かと言って風はあんまり強くないから学校はいつも通りにはじまっていて、生徒の文句がいたるところで聞こえている。
お昼休みが終わった後の授業中。
降り止むどころかどんどん強さを増す雨を眺めて、まるでこの世の終わりみたいだなと思っていた。
分厚い雲に覆われた空はなんとも不気味だし、勢いよく降る滝のような雨は、世界中をうねって、流してしまいそうな感じ。
こんなのでも、あの人は、綺麗だって言うのかなあ。
と、考えたのが先で、それから、昨日会った人のことを思い出した。
なんだか、不思議な人だった。
世界が、わたしすらも、綺麗に見えているらしい人。
『ねえ、明日も会えるかな』
そんなことを、言っていた。