僕は何度でも、きみに初めての恋をする。
市内に住んでいるクラスメイトであれば、誰がどこの中学から来たかは大体自然と把握する。
三浦さんが通っていた東中は、わたしの通っていたところと隣り合わせの学区になる。ハナと会っているあの駅前の、近くにある学校だ。
「そうだけど、どうかした?」
「あのさ……」
首を傾げる三浦さんに、少し迷いつつも訊ねた。
「ひとつ上の学年なんだけど、ハナって名前の人、知ってたりする?」
「ハナ?」
三浦さんがきょとんとした顔をした。
やっぱり、そりゃそうだよね。学年だって違うしわかるわけないよ。
変なこと聞いちゃったな。なんでもないよって言わないと。
でも。
「ああ! それって、芳野先輩のことじゃない」
高い声を上げて、三浦さんが人差し指を立てる。
「ヨシノ……」
「うん、芳野ハナ先輩。男の子だよね、女の子みたいな名前だけど」
ハナの、苗字は知らなかったけれど、たぶん三浦さんが思い浮かべている人とわたしの知っているハナは、おんなじな気がする。なんとなく、だけど。
「三浦さん、知ってるの?」
「ちょっとかわいいふわふわした感じの人でしょ。なんか掴みどころがないって言うか。あと……」
三浦さんはそこで少し表情を変えた。
そのあとは続けなかったけれど、ハナの、記憶のことなんだろうって思った。
やっぱり、彼のことを知っている。