虹色の恋人
4章
光輝にバタンと床に下ろされた。いつもの光輝と違うことはすぐに気づいた。怖くて怖くて床のジュウタンの毛を掴む。ガタガタと震えが止まらなくなる。光輝は果物ナイフを手にこちらへ向かってきた。
「莉子」
と言われまたビクッとする。光輝は果物ナイフで制服の上着を切られた。殺されるかもしれないと言う恐怖から名前を呼ぶ。
「光輝?」
と不安言った。すると光輝は何かが抜けたのかいつも通りの光輝になり私をぎゅっと抱きしめた。
「莉子、俺、転校するんや」
と言う突然の告白に驚いて一瞬、目の前が真っ白になった。そして、質問をした。
「え?なんで?」
「離婚、やってさ」
と言った。光輝のお母さんとお父さんはとても仲がよくおしどり夫婦として有名だったので以外だった。光輝は遠くをぼーっと見つめていた。たぶん仲がよかった頃を思い出しているのだろうと私は思う。だから、これ以上の質問をせずに光輝の左手に私の右手を重ねる。そして寄り掛かる。やはりホッとする。
「ねぇ、美山光輝くん」
とても可愛いらしい声で口調で言った。光輝には一瞬、白い目で見られたが光輝は普通に接した。そして、一呼吸おいて真剣なまなざしになり言った。
「今日だけでいい、俺の物になって」
と告げられて戸惑いもあったがこの町を去る思い出になればと思いこっくりと頷いた。