ロストバージン·レクイエム

とにかく隙を作らないように、ナメられないように、私の目付きはどんどん鋭くなっていった。
それに従い近づきがたいオーラを体得していき、気がつけばすっかり人付き合いが苦手になってしまっていた。

どうにかこうにか社会に出ることは出来たものの、毎日仕事の繰り返しで段々と目に見えない色々が磨り減っていった。給料日だけが楽しみ。もう疲れた。

リカ先輩が最初に私を合コンに誘ったのはそんな時だった。

「それじゃ7時に現地集合ね。あんまり期待出来ないメンバーかもしれないけど」

いつの間にか春雨を食べ終えていた先輩は職場からほど近い小洒落た居酒屋の名前を告げて去っていった。

期待出来ないと言われたら「じゃあ呼ばないでよ」と気を悪くするのが普通なんだろうけど、私は何とも思わない。

先輩もそれを分かった上で言っている。


終業まであと4時間と30分

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