ロストバージン·レクイエム
朝、先に目覚めたのは私。
慣れない部屋ではどうしても眠りが浅くなってしまう。
隣の彼はまだ寝ている。
「……よーしよしよし」
何だか動物っぽく見えたので横腹をさすってみた。
「んー……やめろ!……」
押し退けられた。
はい、すみません。
それがきっかけかは分からないけれど、どうやら目が覚めたようだ。
私がいることに気づいたようでダラダラと抱きついてきた。
「おはよう」
「……はぁー……」
「?」
「梅田さんだ……」
私を抱きしめながら感慨深げにつぶやく。
「そうだよ」
「梅田さんだ……あの梅田さんが隣にいるなんて夢みたい……」
「え!?どうしたの」
突然ドラマのワンシーンの様な事を言われてびっくりした。
寝ぼけているのだろうか。大分意識ははっきりしているみたいだけど。
「夢みたい……」
同じことを繰り返す。
「夢じゃないよ」