ロストバージン·レクイエム
ビハインド·ザ·マスク
それから毎週デートするようになった。
川島君はシャイなようで、手をつないで歩いたりはしない。
その日はドライブをしていて、車内で食事の話になった。
「実家は楽だけど、一人暮らしうらやましいな。ご飯とか自分で作るの?」
「あんまり……。でも電子レンジと冷蔵庫があるからなんとか。今度何か作ってくださいよ。」
「普段料理しないし自信ないよ」
「練習しましょう」
「炊飯器はあるの?」
「ないです」
「コンロは?」
「ないです」
「それじゃとりあえず電器屋さんにいこうか」
「ホームセンターでもいいですか?」
「?いいけど。」
「うち、調理器具どころか食器や細かい物一切ないんで」