朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
でも、今日は由良が忙しい身で良かったと思った。


これで数時間は自由に動き回れる。


由良には悪いと思うが、柚はワクワクして仕方なかった。


 南側は政務所である紫宸殿があり、西側には天皇の日常生活の居所として清涼殿があるので、東側に行くことにした。


男装したとはいえ、暁と鉢合わせたら一発でバレてしまう。


暁と会わないように細心の注意を払いながら渡殿を歩いた。


 通りを行き交う人々は、もちろん全員男性で、柚の姿を見ると少し驚いた様子で足を止め会釈する。


柚は、これがこの世界の人々の礼儀なのかと思って、同じように会釈すると相手はとても驚いた顔をした。


しかし、柚に話しかける人や歩きを止められることはなかったので、柚は平然と宮内を闊歩することができた。
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