朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「稚夜様……」


 貴次は悲しげに、オロオロとした表情を見せた。


どうやら貴次は、柚やその他の人達にはいつも上から目線で偉そうだが、稚夜には頭が上がらないらしい。


「貴次には敵わないかもしれないけど、姉さまは強いし、優しいし、これからは姉さまに稽古を受けようかな」


「そんなっ!」


 貴次が明らかにショックを受けたような顔をしたので、柚は面白がって稚夜の頭を撫でた。


「うん、いいよ。時々後輩を指導することもあったし、私の教え方は分かりやすいって評判なんだ」


 稚夜は柚に頭を撫でられて、とても嬉しそうだった。


その後ろでは、お株を奪われた状態の貴次はショックで固まっていて、それが柚にはとても面白かった。


ざまあみろと思った。
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