朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「あっ……」
呼び止めようにも、美女は跳ねるように軽やかな足取りで、あっという間に姿が見えなくなってしまった。
誰なんだろうと思っていたのも束の間、今度は馬に乗って複数の男性が柚の前に現れた。
誰かを追っているようだったが、柚の身なりを見て、眉を寄せ馬の足を止めた。
5、6人の屈強そうな男たちは、芥子色の衣に鎧を合わせ、腰には太刀を差して、馬上から柚を睨みつけるように見下ろしている。
「なんだその恰好は。怪しき奴め」
どうやら制服が彼らの目に留まってしまったらしい。
柚から言わせたら、彼らの格好の方がおかしいのだが。
「捕えますか?」
男の一人が後ろに控えていた者に声を掛けた。
すると、後ろにいた者が前に出てきて、かぶとの頬当てから、涼しい瞳で柚を見下ろした。
その者は柚を囲んでいた男たちとは明らかに異なっていた。
衣は濃紫で、鎧かぶとは傷一つない煌めく銀色だった。
そして何より違うのは、無骨な男達の中で彼だけが繊細な面立ちで、鼻筋高く瞳は涼しげだった。
あまりに端麗な顔立ちに、柚は瞳が吸い込まれるように見入ってしまった。
「確かに怪しいが、今はそれより先を急く用がある。放っておこう」
「はっ!」
濃紫の衣の男の言葉で、馬は再び地面を駆けた。
瞬く間に男たちはいなくなり、柚はなんだったんだと思いながら、よろよろと立ち上がった。
ここで座っていても埒があかない。
とにかく森を抜けようと歩き出した。
呼び止めようにも、美女は跳ねるように軽やかな足取りで、あっという間に姿が見えなくなってしまった。
誰なんだろうと思っていたのも束の間、今度は馬に乗って複数の男性が柚の前に現れた。
誰かを追っているようだったが、柚の身なりを見て、眉を寄せ馬の足を止めた。
5、6人の屈強そうな男たちは、芥子色の衣に鎧を合わせ、腰には太刀を差して、馬上から柚を睨みつけるように見下ろしている。
「なんだその恰好は。怪しき奴め」
どうやら制服が彼らの目に留まってしまったらしい。
柚から言わせたら、彼らの格好の方がおかしいのだが。
「捕えますか?」
男の一人が後ろに控えていた者に声を掛けた。
すると、後ろにいた者が前に出てきて、かぶとの頬当てから、涼しい瞳で柚を見下ろした。
その者は柚を囲んでいた男たちとは明らかに異なっていた。
衣は濃紫で、鎧かぶとは傷一つない煌めく銀色だった。
そして何より違うのは、無骨な男達の中で彼だけが繊細な面立ちで、鼻筋高く瞳は涼しげだった。
あまりに端麗な顔立ちに、柚は瞳が吸い込まれるように見入ってしまった。
「確かに怪しいが、今はそれより先を急く用がある。放っておこう」
「はっ!」
濃紫の衣の男の言葉で、馬は再び地面を駆けた。
瞬く間に男たちはいなくなり、柚はなんだったんだと思いながら、よろよろと立ち上がった。
ここで座っていても埒があかない。
とにかく森を抜けようと歩き出した。