朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
暁の背中を見て、キス禁止と自分から言ったにも関わらず寂しくなった柚は、暁の大きな背中に、ちょこんと頭をくっつけた。


「ごめんな、暁。八つ当たりして」


 この一言で、さっきまでいじけていた暁の心は一瞬にして明るくなった。


身体を回転させ振り向くと、柚は睫毛を下げて反省していた。


「気にするな。一番辛いのは柚なのだから。八つ当たりくらい、受け止めよう」


 暁は優しく柚を抱き包んだ。


「ん……」


 暁の胸の中に包まれて、苛々していた気持ちも、すっと吹き飛んだ。


安心する、暁の匂い。


柚は目を閉じて、身体を預けた。


(暁は、優しい。貴次とは違う。

でもなんだか不安になる。

居心地がいいからって、このまま暁に流されていいのかな。

暁はどうしてキスするんだろう。

私のこと、どう思っているんだろう)
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