朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
 胸がきゅうっと締め付けられる。


ただ顔を見ているだけなのに、泣きそうなほど切ない気持ちになった。


 鼻先を暁の胸に押し付け、暁の腕の袖をぎゅっと掴む。


(物の怪の件が解決したら、私は捨てられるのか?

私以外の女を妃にするのか?

暁は、私のことを疎ましく思っているのか?

私がいなければ、他の女を娶れるのに、私がいるからそれができないのか?

 なあ、暁、そうなのか?)


 聞きたくても聞けない質問は溜まっていくばかりだった。


考えれば考えるほど、ネガティブな方に傾いてしまって、頭がぐるぐるして一向に眠れそうにない。


自分はいつだってポジティブ思考だったはずなのに、暁のことになると悪い方ばかりに考えてしまう。


 暁が、他の女を妻とすることを想像しただけで胸が苦しくなった。


毎日柚の元へ通ってきてくれているのに、ある日突然別の女性のところへ通いだしたらどうしようと思った。
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