朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
そうしたら、自分はこれまでのような気持ちで暁を再び迎い入れることができなくなる。


きっと、暁に八つ当たりしてしまう。


つんとした態度を取って、ますます暁から嫌われて遠ざけられてしまう。


 でも、だからといって暁の機嫌を常に取り続けるような行動は、自分には絶対できないと思った。


そんな可愛げは自分には存在しないことは十分に分かっていた。


 柚はふと、柚のことを睨みつけるように見ていた後宮の女たちの目を思い出した。


美しい顔が嫉妬で歪んでいた。


ああいう風には、絶対になりたくない。


 柚は自分の奥底に眠る女の部分に、ぶるっと寒気がした。


暁のことを好きなのかもしれないと思った柚は、必死で自分の気持ちを振り払った。
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