朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
(好きじゃない! 好きじゃない!

好きになったら、私は女になってしまう。

暁に私だけを見てほしいと願ってしまう。

我儘になってしまう。

あんな悲しい目をする女にはなりたくない。

誰かを羨ましく思ったり、憎んだりなどしたくない。

暁を、縛り付けたくはない)


 柚は、ぐっと目を瞑って、自分の気持ちを抑えつけた。


 貴次の言葉を聞いても、暁を恨む気持ちは生まれなかった。


国を守る帝としては、朱雀の力を利用したいと思うのは当然のことのように思えた。


だから、暁が物の怪の脅威を押さえ込んだら、他の女性と結婚して幸せになることを喜べるようにならないといけないと思った。


 もしもそうなった時、「良かったな!」って笑顔で暁の肩を叩けるようになりたいと思った。


暁はいい奴だから、ずっと友達でいたい。


だから、好きになったらいけないんだ。


 柚は寝返りを打ち、暁に背を向けた。
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