朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「ああ。ここ数年の短い間に天皇家の一族が次々と物の怪に魂を抜かれ、そして先代の帝の命まで奪った。

地方豪族の一部の者達が、今この時期を襲来の絶好の機会と捉え、秘密裏に勢力を伸ばしているというのだ。

このまま黙っておれば、地方の豪族といえど油断はならない。

早い時期に手を打ち、彼らの勢力を抑え込まねばならぬ」


 悠然と構えているとはいえ、暁の瞳はギラギラとした獣のような輝きを放っていた。


戦前で気が昂っている様子が見て取れた。


「私は、一緒には行けないのか?」


 柚がしょんぼりと項垂れて聞くと、暁の瞳から鋭さが消え、柚の項に手を置いた。


「恐らく牽制するだけで戦いには発展しないとは思うが、相手の出方次第では分からぬ。

そんな危険な場所に柚を連れていくことはできないんだ。分かってくれ」


「どれくらいかかるんだ?」
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