朱雀の婚姻～俺様帝と溺愛寵妃～

「うむ、余は貴次に遠慮などしたことないぞ」


「確かに、そうですね」


　貴次は笑いながら去っていった。


貴次の笑い顔を見ると、柚のことを心配していて不安だった心や討伐前で殺気立っていた心が落ち着いていった。


　最初に出会った頃、貴次は笑顔をどこかに忘れてきたみたいに、自分の殻にこもり冷静な顔を崩さなかった。


生真面目でつまらない奴だなと思っていたけれど、暁に心を許し始めてから時折見せる笑顔が可愛くて、今では一番頼りにしている部下だった。


中でも稚夜に見せる笑顔は格別で、暁は稚夜と一緒にいる貴次の姿が一番好きだった。