朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
恐る恐る頭を上げた甲斐に、暁は朗らかな笑顔を向けた。
その笑顔に安心した甲斐は、使い慣れない尊敬語で、溜息のわけを話し始めた。
「東北にいるおらの母(かか)が、病気を患ったらしいのです。
母は平城宮で物の怪が出るということを気にしておりまして、病気の様子も見たいし、帝の御加護があるから大丈夫だと安心させてやりたいのですが……」
「そうか、それは心配だな。暇(いとま)をもらって早く帰るがいい」
「しかし、平城宮が大変な時期におらだけ帰るなんて……」
「理由が理由ではないか。そんなに気にすることでもあるまい。暇を貰えるよう私からも言っておく」
皇子の言葉に甲斐の表情はどんどん明るくなっていった。
「ありがとうございます!」
甲斐は地面に頭を擦りつけるように深く礼をした。
その姿に暁はニコリと笑って馬の手綱をしならせた。
その笑顔に安心した甲斐は、使い慣れない尊敬語で、溜息のわけを話し始めた。
「東北にいるおらの母(かか)が、病気を患ったらしいのです。
母は平城宮で物の怪が出るということを気にしておりまして、病気の様子も見たいし、帝の御加護があるから大丈夫だと安心させてやりたいのですが……」
「そうか、それは心配だな。暇(いとま)をもらって早く帰るがいい」
「しかし、平城宮が大変な時期におらだけ帰るなんて……」
「理由が理由ではないか。そんなに気にすることでもあるまい。暇を貰えるよう私からも言っておく」
皇子の言葉に甲斐の表情はどんどん明るくなっていった。
「ありがとうございます!」
甲斐は地面に頭を擦りつけるように深く礼をした。
その姿に暁はニコリと笑って馬の手綱をしならせた。