朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
暁は周りの刺すような視線に気付き、チッと舌打ちをして帝の御前で苛立ちげに胡坐をかいた。
帝は天蓋の向こうから、よく通る太い声を出した。
「甲斐とは誰だ」
帝の声は重低音で、怒られてもいないのに身が竦んでしまうような独特の迫力があるが、暁は全く怯むことなくつっかかった。
「牧監の者です! 甲斐は病気の母を見舞いに行くはずでした!」
暁の返答に、帝は考え込むように一呼吸した後、ようやく思い出したのかゆっくりと口を開いた。
「ああ、あの弱虫の小僧か。
あやつが物の怪に怖れをなして暇を貰い宮を逃げようとするから、他の者からも次々と暇を要求する声が増えたのだ。
我が身可愛さに宮を放って逃げようなど考えること自体が謀反に他ならぬ。
あやつはその見せしめとして殺したまでよ」
暁は帝の言葉に一瞬怒りで我を失いそうになった。
僅かに残っていた理性で飛びかかりたい欲求を抑え、怒りで震える唇で言葉を発した。
帝は天蓋の向こうから、よく通る太い声を出した。
「甲斐とは誰だ」
帝の声は重低音で、怒られてもいないのに身が竦んでしまうような独特の迫力があるが、暁は全く怯むことなくつっかかった。
「牧監の者です! 甲斐は病気の母を見舞いに行くはずでした!」
暁の返答に、帝は考え込むように一呼吸した後、ようやく思い出したのかゆっくりと口を開いた。
「ああ、あの弱虫の小僧か。
あやつが物の怪に怖れをなして暇を貰い宮を逃げようとするから、他の者からも次々と暇を要求する声が増えたのだ。
我が身可愛さに宮を放って逃げようなど考えること自体が謀反に他ならぬ。
あやつはその見せしめとして殺したまでよ」
暁は帝の言葉に一瞬怒りで我を失いそうになった。
僅かに残っていた理性で飛びかかりたい欲求を抑え、怒りで震える唇で言葉を発した。