朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「分かりました。ならば自分達のためだけに力を使えばいい。

私はもうあなた達のために力は使わない。

あなた達は弱者ではない。

自分を守るすべがある。それをしないのは甘えだ」


 暁の言葉に母や姉は狼狽えた。


立ち上がり、殿舎を去ろうとしている暁の背に向かって母は声を上げた。


「暁! 家族を守るのは当然のことであろう!」


「民を守ることも当然のことだ! 当たり前のことをしようとしない奴に情けをかける必要などない!」


 暁は振り向きざまに言い放ち、どかどかと音を立てて去っていった。


 その後、暁は宮の者達を守るためだけに力を使い、一族のことは放っておいた。


すると、一族から一人、また一人と犠牲者が増えていった。


その度に心を痛める暁ではあったが、帝が守ってくれるだろうと思い、宮の者達を守ることに集中した。


なんだかんだいっても、帝の力はその頃の暁より強かった。
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