朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「帝、大丈夫ですか!」


 貴次に揺り動かされ、暁は目を開けた。


額には小粒の汗が滲んでいた。


「うなされていましたが、悪い夢でも見たのですか?」


 心配そうに暁の顔を覗き込む貴次を見て、暁はほっと安堵した。


「大丈夫だ、何でもない」


「お疲れが溜まっているのではないですか?

出る間際、平城宮一帯に強力な結界を張り、討伐のために馬を急がせました。

今夜はゆっくりと休み、日が真上に昇ってから出立するようにいたしましょうか?」


「その必要はない。これくらいどうってことはないのだ。

過去をほんの少しばかり思い出してしまっただけだ」
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