朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
最近は見ることがなかった夢。


柚と一緒に寝ていたので、あまり思い出さずに済んでいた。


柚と出会うまでは毎日のように過去の夢にうなされていた。


母や姉の無念で苦しそうな死に顔を思い出す度、自分が意地にならなければ母たちは死なずに済んだかもしれないと自責の念に囚われていた。


 大丈夫だとはいっても、貴次はなおも心配そうな顔で暁を見ていたので、暁は口角を上げて明るく言った。


「早く終わらせて宮に帰ろう」


 暁の笑顔に、貴次もつられて笑顔が零れた。


「そうですね」


 太陽の頭がうっすらと東の空から昇りはじめた。

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