朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「変な服着ながらかっこつけやがって。一対三で勝てるとでも思ってるのか?」


「そんなの、やってみなけりゃ分からないじゃないか」


「言うじゃねぇか。後で泣いてもしらねぇぞ、坊主」


 ここでも男に間違われた。


確かに柚の行動は不利な状況でも果敢に挑むヒーローのようだった。


柚の高校の女子生徒たちがこの場に居合わせたら泣いて興奮するだろう。


しかし女子生徒の制服を着ていながら、こうも何度も男に間違われるのはさすがに癪だったが、この状況では男と思われてる方がいいだろう。


女だと思われたら相手にもされなかったに違いない。


 美女を自分の後ろに立たせ、男三人と対面する。


勝てるか。


木刀があれば三人だろうが余裕で勝てる自信はあったが、今は何の武器もない。


勝算は低い。


ならば美女を逃がしてから、好隙を見て自分も逃げ出す。


それしか助かる道はない。


「私が奴らを足止めしている隙に逃げるんだ」


 美女にだけ聞こえるように言った。


すると美女はショールで口元を隠しながら、困ったような瞳で顔を横に振った。


「できません」


 消え入るような声だった。


「いいから早く!」
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