朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
そう思った時、目の前に暁が現れたように見えた。
頭が朦朧としていて顔がよく見えないが、柚の前に突如として現れた人物は結印を結び呪文を唱えた。
「急急如律令」
男が静かに言い放つと、黒い霧の形をした物の怪は、後ずさりするように後退していき、塀にすっと消えていった。
物の怪がいなくなると、身体が軽くなり、空気を思い切り吸い込んだ。
朦朧としていた頭もだんだんと冴えてくる。
「大丈夫ですか!? 姉さま!」
姉さまと呼ばれて、柚は一気に覚醒した。
暁のように見えていた人物は、小さな稚夜だった。
「稚夜? どうしてここに……」
「暦が今夜は危険だと教えてくれたのです。
渾天儀(こんてんぎ)で占っていたら、物の怪は今夜姉さまを襲うと出たので、急いで駆けつけました。
間にあって良かった」
頭が朦朧としていて顔がよく見えないが、柚の前に突如として現れた人物は結印を結び呪文を唱えた。
「急急如律令」
男が静かに言い放つと、黒い霧の形をした物の怪は、後ずさりするように後退していき、塀にすっと消えていった。
物の怪がいなくなると、身体が軽くなり、空気を思い切り吸い込んだ。
朦朧としていた頭もだんだんと冴えてくる。
「大丈夫ですか!? 姉さま!」
姉さまと呼ばれて、柚は一気に覚醒した。
暁のように見えていた人物は、小さな稚夜だった。
「稚夜? どうしてここに……」
「暦が今夜は危険だと教えてくれたのです。
渾天儀(こんてんぎ)で占っていたら、物の怪は今夜姉さまを襲うと出たので、急いで駆けつけました。
間にあって良かった」