朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「暁からチラリと聞いたことはあったけど、稚夜は陰陽道の一族の末裔だったんだな」


「はい、だから僕が陰陽道を勉強していることは、誰にも知られてはいけないことだったんですけど」


「そうだったのか。分かったよ、今夜のことは誰にも言わない」


 稚夜は軽く微笑み、首を横に振った。


「いいえ、秘密ごとはよくありません。

物の怪は、姉さまを狙って襲ってきた。

姉さまは物の怪に狙われていることが分かりました。

姉さまの今後の危険を考えると、秘密にしておくのは危険です」


「でも、それでは稚夜が……」


「暁兄様は先代の帝とは違って寛大な方です。

僕が陰陽道を勉強していたと知っても咎めたりはしないと思います」


 確かに、暁なら今宵の一件を聞いたら、稚夜のことを褒めることはあっても怒ることはしないように思えた。


「でも、知れば知るほど不思議だな。

天皇家の一族は物の怪を鎮める力があるんだろ?

なのに物の怪に殺されたなんて。本当にそんな力あったのかな?」


「物の怪を鎮める力があることは事実です。

現に僕も微弱ながら、物の怪の気配を感じることができますし。

それに何より暁兄様は、見事に物の怪を鎮めている」
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