朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
柚が一喝すると、美女は渋々といった様子で後ろに下がっていった。


美女に逃げられると思った男たちは一斉に柚に襲いかかってきた。


最初は剣道で培った動体視力でボクサーさながらに男たちの拳を避けていたが、人を殴ったことがないので防戦一方になり、ついには男たちの内の一人の拳が柚のみぞおちに入った。


 思わず鈍い声を出して地面に倒れる。


そのまま袋叩きにあいそうだったが、よろめきながらもすぐに立ち上がった。


しかし、男に後ろから両腕を固定されて身動きが取れない状況になった。


絶体絶命。これはまずい。


 形勢が一気に有利になった男達は顔に笑みを浮かべて、じりじりと柚に詰め寄った。


「さあどうしてやろうか。まずは腕の一本でもへし折ってやろうか」


「くっ離せ!」


 じたばたと暴れてはみるものの、男の力は強くビクともしない。


やはり、いくら男に間違われるとはいえ柚は女の子なのだ。


力では勝てるはずもない。
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