朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「こんな所で、三人揃って、何をしているんだ!」



 暁は三人の元へ歩きながら大きな声を張り上げた。


かなり怒っている様子で、柚は必死に頭を隠しながら丸くなった。


「稽古をしていたんです」


 貴次はサラリと言った。


暁にバレてしまっても、眉一つ動かさない。


「稽古? なぜ柚が稽古をする必要があるんだ」


(ひえ~。やっぱり私ってバレてる!)


 柚は丸くなりながらも、怖くて暁の方を見れない。


「怒らないで、兄様。僕が姉さまに稽古をつけてくれって頼んだんだ」


 一瞬で空気を察した賢い弟、稚夜は、こう言えば暁の怒りが収まるだろうと思って機転を効かせた。


「なぜ柚に稽古を見てもらう必要がある。貴次がいるだろう」


「貴次は厳しすぎるんだ。その点、姉さまは優しいし、腕も確かなんだよ」


「そうなのか、貴次」


 振られた貴次は、稚夜に厳しすぎると言われてやや傷付いてはいたが、稚夜の言葉に乗っかるのが賢明だろうと思い話を合わせた。
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