朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「ええ。柚様は私には格段に劣りますが、剣の腕はなかなかいいものを持っています」


 柚はいまだ丸くなりながら、「格段に劣るなんて言わなくていいじゃないか。一言余計だ」と心の中で思った。


「そうなのか、柚に剣が使えるとは知らなかった」


「センスはありますが、腕の力が弱いので実戦では役に立たないでしょう。

木刀でさえ重い重いと嘆いていますから。

あと、根性も足りない。

私から見ればまだまだです」


「言い過ぎだ!」


 柚は思わず顔を上げ、貴次に食いかかった。


その瞬間、暁と目が合う。


なんだかすごく気まずくなって、再び頭を隠した。


 暁は柚と目が合って、気持ちを整えるためにゴホンと咳払いした。


「しかしながら、余に黙って三人で稽古するとは何事だ」


 もっともな言い分に、柚は何も言い返せない。


元々隠していたことに罪悪感を持っていたので、尚更だった。


「ずるいぞ! なぜ余もいれてくれなかった!」


 暁の一言に、三人はポカンと呆気に取られた。
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