朱雀の婚姻～俺様帝と溺愛寵妃～

そんなことを考えているうちに柚の部屋へと到着した暁は、いつものようにご機嫌で部屋へ一歩足を踏み入れた。


その瞬間、なぜか嫌な予感がした。


顔を上げると、部屋には柚の姿がない。


「柚？」


　名を呼んで部屋を見渡すが、いつもと変わった様子はない。


ただ、柚の姿が見当たらないだけだ。


暁の表情はみるみるうちに険しくなっていき、獲物を探るような目線で部屋を見渡した。


　すると、寝台の上に文が一通置かれているのに気が付き、すぐにその文を広げた。


文を読む暁の顔から、一切の優しさが消え去る。


暁は文を読み終えると、ぐしゃりと紙を握りつぶした。


誰もがひれ伏し恐れるような険しい雰囲気を身体に纏いながら、暁は遠くを見つめた。