朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
そうして洞窟内を進んでいった暁であったが、遠くに灯籠の明かりがぼんやりと見えた。


人の気配もそこからする。


暁は、そこに柚がいるような気がして一気に駆け出した。


 奥に進むにつれて洞窟内は狭くなっていき、ついには襖一枚分くらいしかない道を抜けると、一気に丸く広い場所へと抜け出た。


どうやら洞窟内はひょうたんのような造りになっているらしい。


十二畳分くらいの広さのある丸い造りの最奥には、柚の侍女と狩衣を着た貴次、そして縛られて地べたに座り込んでいる柚がいた。


 暁の登場に柚が驚いたような表情を見せる。


縛られてはいるが、怪我などはしていない様子の柚を見て、暁はほっと安堵した。


「柚っ!」
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