朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
思わず叫び駆け寄ると、柚が真っ青な顔をして叫んだ。


「暁! 来るな!」


 柚の叫びに暁の足が止まった。


どうしてそんなことを言うのだろうと思った時は、もう遅かった。


貴次が面妖な笑みを見せ、顔の前で結印を結び術を唱えていたのである。


 まずい! と思い、足元を見ると大きな星の紋章が描かれていて、暁は星のちょうど真ん中に立っていた。


足元から風が舞いあがり、暁を包み込んだ。


「封禁の術。もう一歩も動くことはできない」


 貴次の言葉に柚と暁は血の気が引いた。


「くっ! うっ!」


 暁は身体を動かそうとするも、足どころか指一本動かなかった。


星印の真ん中で、人形のように固まってしまったのである。


「貴次! なにゆえこのようなことをする!?」


 暁の怒号が洞窟内でこだました。


貴次は冷たい眼差しで身体が固まってしまった暁を見つめた。
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