朱雀の婚姻～俺様帝と溺愛寵妃～
「なにゆえねぇ。

そうですね、最後に全ての種明かしを致しましょう。

帝を殺せば全てが終わる。

あの悪夢の一夜から始まった、想像を絶する苦悶の日々を……」


　貴次は、ふと遠くを見つめた。


その横顔には、普段の貴次からは垣間見ることのできなかった暗い影が宿っていた。


「私はあなたの父君が殺した陰陽師一族の生き残りなのです。

私の母は陰陽道一族の巫女、つまり稚夜と私は異父兄弟なのです。

母は当時幼かった私を命がけで逃がしてくれました。

しかし私は生き残ることができましたが、父も母も親類も全てを失ってしまいました。

私はたった一人、危険な森の中で動物のように生き抜きました。

自然と剣の腕は磨かれ体力や瞬発力も身に付き、囚われた母を助けにいこうとしていた矢先、母は稚夜を産んですぐに亡くなったことを知ったのです。

生きる希望を失った私は復讐することを誓いました。

すると憎しみの憎悪に包まれている私の元に、物の怪が忍び寄ってきたのです」
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