朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
貴次の瞳は血のように赤く染まり、背後からおどろおどろしい気配が増殖していった。


まるで貴次自身が物の怪になったように見えて、柚は悲鳴を抑えるのに必死だった。


「物の怪は私に言いました。

力を貸してあげようと。

その代わり、お前の魂に住みつき、お前の憎悪を喰わせてくれと言いました。

憎しみに囚われていた私は、迷うことなく物の怪と契約を結びました。

私と物の怪は一心同体。私は剣の腕を買われ首尾よく平城宮に入り込むことができ、物の怪を宮に解き放つことができました。

物の怪は力を蓄えるため、平城宮で働いていた者達を次から次へと喰らっていきました。

そうして力をつけた物の怪は、ついには皇族までも喰らっていきました。

しかし皇族は天照大神の子孫であり、物の怪を封じ込める力を持っていたので、平城宮で働く者達のように簡単には喰らうことができません。

そこで陰陽道の力を使い天照大御神の力を封じ込め、力の強い皇族でさえも物の怪に食らわすことができたのです」
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