朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
第二十六話 雨
 暁は柚の亡骸を抱きしめながら、崩れ落ちた洞窟の前でずっと嘆き悲しんでいた。


すでに夜は明け、朝日が出ているが、分厚い雲に覆われて日差しが射すことはなかった。


暁の気持ちに空が同調して悲しみの雨が降り続いていたのである。


山が崩れるような激しい雨は治まったが、振り続ける霧雨は永遠に止みそうにない。


それほどまでに柚の死は暁にとって重いものであった。


 柚の顔はとても穏やかで、まるで寝ているようでもあった。


暁は悲しみに暮れながら、柚の顔を見つめ続ける。


起きてほしい。


柚が起きるならば、何でもすると思った。


叶わぬ願いとは分かっていても、暁はその場から離れることができなかった。


このまま柚を抱きしめながら時を過ごし、柚の元へ行きたいとも思った。


悲しみの雨は降り続ける。
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