朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「暁。公務はもう終わったのか?」


 暁は微笑みながら柚の隣に立った。


「会議が終わってしばしの休憩だ。平和になったから自由になる時間も増えたのでな」


 柚も暁に頬笑みを返し「そうか、良かったな」と言った。


 爽やかな風が通り抜ける。


二人の間には穏やかな時が流れていた。


しばらく二人で黙りながら空を見上げていたが、ふいに暁が口を開いた。


「陰陽道を国の学問の一つにしようと思うのだ。

天皇の一族だけが物の怪を鎮める力があると国民に思わせ、怖れから従わせようというやり方はよくない。

せっかく陰陽道という教えがあるのだから、広く普及させ不安のない社会を作っていきたいと思う」


 柚は暁の言葉に驚き、目を見張った。


以前自分が稚夜に言ったことが叶えられようとしている。


あの時は夢物語のようだったのに、こんなに早く現実化するとは思っておらずびっくりした。
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