朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「え……。何を今さら。もう私は妃だろ?」


「しかし、婚姻の儀はまだ行っていないではないか。

物の怪のことがあり、伸ばし伸ばしになってしまっていた。

妃とはいっても、今までは婚約者のようなものだ。

婚姻の儀を行い、正式に余の妻となってほしい」


 柚はもうとっくに暁と結婚しているものだと思ったので、驚きは一入だった。


優しい暁のことだ、断れば無理に結婚させようとはしないと思う。


突然、選択の余地を与えられたことに柚は戸惑い目を泳がせた。


 真剣な表情の暁。


暁の気持ちが生半可なものではないことが伝わってくる。


 前は、突然異世界に飛ばされ、わけも分からないまま強引に帝の妻にさせられ不満でいっぱいだった(実際はまだ結婚していなかったが)。


朱雀の巫女になったことも、帝の妃にさせられたことも、全て自分で選んだことではなかった。
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