朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
けれど今は、全て自分で選んだ道だった。


元の世界に戻ることを止め、この世界で生きていくと決めたことも、柚が選んだことだ。


そして今、暁の妻になるかどうか選択ができる自由を与えられたことに、柚は感謝の気持ちでいっぱいになった。


柚は覚悟を決めて深呼吸を一つしてから言った。


「暁の妻になるよ」


 その返事に暁は喜び、勢いよく柚を抱きしめた。


少し痛かったが、その痛みでさえも幸福に感じられた。


柚と暁は笑い合った。


 そして柚は大事なことを思い出した。


自分が死んだと分かった時、暁に気持ちを伝えなかったことを後悔した。


しかし柚はまだ暁に自分の気持ちを伝えていなかった。


柚は大きく深呼吸して暴れる心臓をおさえつけた。


「暁に言いたいことがあるんだ」


 震える唇で話を切り出す。


柚を抱きしめていた暁は、不思議そうに抱いた腕を解き、柚の顔を見つめた。


「なんだ?」


「あのな……」






                                  【完】
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