朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
暁の瞳は、まるで獣のようだった。


吐息が熱く鬼気迫るものがある。


柚の身体の上に乗り、深いキスを落としながら、柚の衣の紐に手をかけた。


あっという間に柚は、白い寝巻き姿となった。


寝巻き姿とはいっても、いつもはこの上にもう一枚白い衣を着ている。


いわば今の柚の姿は下着姿。


この薄手の衣の下には何も身につけていないのである。


「暁? え、ちょっと待ってくれよ。何してんだよ」


「もう待てぬ。良いだろ、柚」


 暁は柚の首筋にキスしながら言った。


「いいはずないだろ! ストップストップ、ストーップ!」


 柚は大声で足と手を使って無理やり暁の身体を押し退けた。


「なんだストップとは。余は分からぬ」


 押し退けられても、なおも暁は柚に襲いかかる。


「止めろって意味だよ!」


「なぜ止めねばならぬ。もう止める理由はないであろう」


「あるよ! 大ありだ! 私たちはまだ結婚してないんだろ? 結婚もしてないのに、そんなことしたら駄目だろう!」


「庶民は男が女の元へ通った後に結婚をする。ゆえに身体を重ねるのが先だ。

余の結婚は一般とは違い、結婚した後に妻と初めて夜を迎えるというのが習(なら)わしだが、それは表向きだ。

誰もそんなこと守っておらぬし、守る必要もないとされている。

だから何の問題もない、安心して余に身を任せるがいい」
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