朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「では、いつになったら柚は許してくれるのだ?」


「え……?」


 真剣な眼差しの暁。


柚は思わず狼狽(うろた)えた。


いつならいいんだろう。


考えてはみたが、柚自身にも分からない。


「結婚式って、いつやるんだ?」


「婚儀か? 婚儀は新居が完成したらと考えておる」


「新居? 平城宮から出て二人で住むのか?」


「まさか。平城宮内に新しく作るのだ。二人で住むというより、柚の部屋だ。余の家はこの平城宮全体のようなものだからな」


「立派な部屋がもうあるのに、どうして新しく作る必要があるんだ?」


「柚は本当に欲がないな。この部屋は柚が来る前から元々あったものだ。もっと帝の妻に相応しい家を建ててやらねばなるまい」


 そんなことしなくていいのに、と柚は思ったが、家を建てるということはそれだけ時間がかかるということだから、その間に自分の決意も固まるかもしれないと思った。


「分かった。じゃあ、婚儀が終わったら、な」


「本当か!?」


「うん」


「よし、分かった。柚を本気で愛し、大切にしているということを、身を持って伝えるぞ」
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