朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「追放だなんて! そんなことしちゃ駄目だ!」


「大変無礼なことを言われたのですよ? 宜しいのですか?」


「いいんだ。偉いのは私じゃなくて暁だ。そんなことで権力を使いたくない。腹が立つなら、正々堂々直接言うさ」


 柚の言葉に、如月は驚いた。


柚にそんな信念があったとは思いもよらなかったからである。


品位も教養もないガサツな女の子だと思っていたが、少し見方を変えた方がいいのかもしれないと思った。


 如月が柚を見直した一方で、柚は大きなショックを受けていた。


あの暁が女たらしだったなんて……。


柚は恋愛経験が皆無なので、この衝撃はかなりのものだった。


 放心状態で抜け殻のようになってしまった柚のことは気の毒ではあるが今は置いといて、如月が見事に名前を当てた昇香について説明しよう。


 昇香の身の上を語る前に、まずは暁の過去の女性遍歴を語りたいと思う。


一途な暁に好感を持ってくれた読者の方に、暁の奔放な女性通いを暴露してしまうのは心を痛めるが、あくまで過去の話である。


今は柚一筋なので、そこら辺はご容赦いただきたい。
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