朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
華麗なる女性遍歴を持っている暁だが、誰彼構わず手を出していたのではない。


身分の高い女性は敬遠していた。


身分の高い女性は矜持が高く、また箱入り娘として育った後、後宮に入ったので初心(うぶ)である可能性が高い。


下手に初心な女性に手を出してしまうと、後々面倒なことになることを怖れた暁は、割り切って遊べる女性を選ぶ目に長けていた。


 後宮に入って宮仕えしているからとて、天皇と結婚し皇子をもうけようという野心なんて微塵も持っていない身分の低い女性をあえて選んでいた。


天皇のお世話をする容姿端麗な采女ではなく、女儒(にょじゅ)と呼ばれる掃除など雑事に従事した下級女官を好んだ。


 そして下級女官の中でも、由良のように初心な女性は決して選ばなかった。


一夜の戯れと分かった上で、互いが楽しく過ごせる女を選んでいたのである。


 暁と肌を重ねた女性は、天皇の皇子をもうける可能性があるので、一躍出世街道に乗れる立場となるのだが、表立って天皇と夜を交わしたと言う者はいなかった。


何度も通いに来てくれるならまだしも、一度きりの戯れは口外しないのが一般的だった。


後宮に仕えているとはいっても、いつかは後宮を出て結婚しようと思っている女性の方が多い。


下級女官であれば尚更だ。
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