朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「ほう、これを柚が」
暁は満面の笑みを浮かべた。
「どれ、早速食べてみるか」
暁が匙で寒天を救い上げると、由良はゴクリと喉を鳴らし、食い入るように寒天を見つめた。
「お待ちください!」
あと少しで寒天が暁の口に入る所で、役人がそれを制した。
「その食べ物はまだ毒見が終わっておりません。一端、引き取らせていただきます」
その言葉に由良は顔が真っ青になった。
しかし由良の様子に気付く者はいない。
役人が陶器を暁から取り上げようとすると、暁はむきになって陶器を抱えた。
「駄目だ。これは柚が余のために作ってくれたものだ。誰にも食べさせぬ」
「またそんな子供みたいなことをおっしゃられて……」
「柚の愛は余が全て独り占めするのだ。どうだ、羨ましいだろう」
「そういうことではなくてですね」
呆れた様子の役人を尻目に、暁は寒天を頬張った。
由良の動悸が激しくなる。しかし由良は努めて平静を装った。
「うっ」
噛んだ瞬間、口中に苦い風味が広がり、暁は顔を青ざめた。
(……まずい)
暁は満面の笑みを浮かべた。
「どれ、早速食べてみるか」
暁が匙で寒天を救い上げると、由良はゴクリと喉を鳴らし、食い入るように寒天を見つめた。
「お待ちください!」
あと少しで寒天が暁の口に入る所で、役人がそれを制した。
「その食べ物はまだ毒見が終わっておりません。一端、引き取らせていただきます」
その言葉に由良は顔が真っ青になった。
しかし由良の様子に気付く者はいない。
役人が陶器を暁から取り上げようとすると、暁はむきになって陶器を抱えた。
「駄目だ。これは柚が余のために作ってくれたものだ。誰にも食べさせぬ」
「またそんな子供みたいなことをおっしゃられて……」
「柚の愛は余が全て独り占めするのだ。どうだ、羨ましいだろう」
「そういうことではなくてですね」
呆れた様子の役人を尻目に、暁は寒天を頬張った。
由良の動悸が激しくなる。しかし由良は努めて平静を装った。
「うっ」
噛んだ瞬間、口中に苦い風味が広がり、暁は顔を青ざめた。
(……まずい)