朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
甘味と言っていたのに、全然甘くないし、むしろ苦い。
暁は二度目の咀嚼をせずに寒天を口の中に入れたまま、チラリと由良を見た。
目が合った由良はニコリと笑って、
「柚様のお作りになられたお菓子は美味しいでしょう」
と言った。
暁は空を一点に見つめ、噛まずにゴクリと飲み込んだ。
「うん、大変美味い。こんな美味いものは初めて食べた」
棒読みで暁は言うと、そのまま寒天を流し込むように一気に平らげ、空になった器を由良に返した。
「美味すぎて一気に食べてしまった。余のためにありがとうと伝えてくれ」
背中に嫌な汗をかきながら暁は言った。
まさか全て食べてくれるとは思っていなかった由良は、空になった器を見て驚きながらも、満面の笑顔を返した。
「全て召し上がってくださったと知ったら、一生懸命お作りになられていた柚様は大変喜ぶと思います。どうか今宵は柚様の元へ赴き、直接お礼をおっしゃってあげてください」
「そうだな、礼だけでも言いに行こう」
「お待ちしております」
由良は深々と礼をすると、そのまま帰っていった。
由良が下がった後、ふと暁を見上げた役人は、暁の顔色の悪さにぎょっとした。
暁は二度目の咀嚼をせずに寒天を口の中に入れたまま、チラリと由良を見た。
目が合った由良はニコリと笑って、
「柚様のお作りになられたお菓子は美味しいでしょう」
と言った。
暁は空を一点に見つめ、噛まずにゴクリと飲み込んだ。
「うん、大変美味い。こんな美味いものは初めて食べた」
棒読みで暁は言うと、そのまま寒天を流し込むように一気に平らげ、空になった器を由良に返した。
「美味すぎて一気に食べてしまった。余のためにありがとうと伝えてくれ」
背中に嫌な汗をかきながら暁は言った。
まさか全て食べてくれるとは思っていなかった由良は、空になった器を見て驚きながらも、満面の笑顔を返した。
「全て召し上がってくださったと知ったら、一生懸命お作りになられていた柚様は大変喜ぶと思います。どうか今宵は柚様の元へ赴き、直接お礼をおっしゃってあげてください」
「そうだな、礼だけでも言いに行こう」
「お待ちしております」
由良は深々と礼をすると、そのまま帰っていった。
由良が下がった後、ふと暁を見上げた役人は、暁の顔色の悪さにぎょっとした。