朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
采女と別れて一人で柚の部屋へと向かいだした暁だったが、どんどん頭が朦朧としてきて、足元がふらつき始めた。


いつもならこれくらいの暗闇はどうってことないのだが、目が霞み、視界がぼやける。


更に集中力も格段に落ちているので、うっかり気を抜くと扉に頭をぶつけそうになる。


近いはずの柚の部屋が、今日はやけに遠く感じた。


(一体どうしたのだろう。今日は柚に会わずにおきたいが、ここまで来たのだから礼の一言だけ言って引き上げよう。気分が優れぬと言えば柚も分かってくれるであろう)


 ふらふらになりながらも、もうすぐ、もうすぐだと自分に言い聞かせながら、柚を想う一心で歩みを進める。


柚の部屋の扉が視界に映り、ほっとしたその時だった。


暁は左手をぐいと引っ張られ、突然襖が開いた部屋の中へ引き込まれた。


 手を引っ張られた衝撃と、ふらつく足元のせいで、暁は引っ張った人物を組み敷くような形で倒れ込んだ。


甘い香りと柔らかな感触に包まれる。


それは女性の身体であると瞬時に暁は分かった。


ここしばらく女性を抱いていなかったので、懐かしい感触に思わずクラリとした。
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