朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
一方、昇香の首筋に顔を埋めた暁は、手の平に感じる女体の温もりと柔らかさに脳髄が痺れるような快感が走っていた。


久々に触る女性の身体は、昔の記憶よりも気持ちよく感じた。


昇香の豊満な乳房を掴むと、昇香は甘い声を上げた。


その声が、更に暁を燃え上がらせる。


「斎暁様……」


 昇香は暁の肩に両手を這わせ、その名を呼んだ。


すると、暁がハッと我に返った。


「いかん! 余は何をしておるのだ!」


 勢いよく上体を起こし、昇香から離れると、それだけでクラリと頭が揺れた。


「離しませんわよ、斎暁様」


 ふらついている暁の身体をしっかりと抱き、昇香は唇を押し付けた。


目を見開き、固まる暁だったが、昇香のキスによってどんどん頭がはっきりとしてきた。


気持ちがいいどころか、嫌悪感しか抱かなかったのである。


冷静さを取り戻した暁は「やめろ!」と言って、昇香を突き飛ばした。


 床にドサリと倒れ込んだ昇香を見て、つい力が入ってしまったことに気が付いた。


「すまぬ、大丈夫か?」


 慌てて手を差し伸べると、昇香は暁を見ず、暁の後ろに視線をやっていた。


そして、勝ち誇ったように微笑んだ。


 暁もその視線を追って、後ろを振り返る。


そして暁の目が大きく見開かれ、息が止まった。
< 278 / 342 >

この作品をシェア

pagetop