朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「余は、お前が嘘を吐いていると知っていても、黙っていてやった。
嘘が明るみに出るのは時間の問題であるし、一度でも抱いた女を辱めに合わせたくなかったからだ。
しかし、今度のことは許すことができぬ。
余をたぶらかし、なおかつ柚を小娘呼ばわりした罪は重いぞ。
お前は後宮から追放する。国へ帰れ」
「そんな! 嫌です、斎暁様!」
「黙れ! お前に余の名前を呼ばれとうない! 二度と余の前に姿を見せるな!」
昇香はショックの余り声が出ず、ただ暁の瞳を睨みつけるように見つめ続けることしかできなかった。
どうしたらこの窮地を変え、暁に許してもらえるか必死に考えを巡らせるが、暁の怒りを含んだ冷たい眼差しに射られると、考えるだけ無駄であると思い知らされた。
暁は昇香から視線を逸らすと、背中を向け一目散に柚の後を追い走り出した。
「あっ……」
と昇香の口から声が漏れる。
あっという間にいなくなってしまった暁の背中に縋るように右手を突き出したが、昇香の手は空を彷徨うだけだった。
嘘が明るみに出るのは時間の問題であるし、一度でも抱いた女を辱めに合わせたくなかったからだ。
しかし、今度のことは許すことができぬ。
余をたぶらかし、なおかつ柚を小娘呼ばわりした罪は重いぞ。
お前は後宮から追放する。国へ帰れ」
「そんな! 嫌です、斎暁様!」
「黙れ! お前に余の名前を呼ばれとうない! 二度と余の前に姿を見せるな!」
昇香はショックの余り声が出ず、ただ暁の瞳を睨みつけるように見つめ続けることしかできなかった。
どうしたらこの窮地を変え、暁に許してもらえるか必死に考えを巡らせるが、暁の怒りを含んだ冷たい眼差しに射られると、考えるだけ無駄であると思い知らされた。
暁は昇香から視線を逸らすと、背中を向け一目散に柚の後を追い走り出した。
「あっ……」
と昇香の口から声が漏れる。
あっという間にいなくなってしまった暁の背中に縋るように右手を突き出したが、昇香の手は空を彷徨うだけだった。